保険料の勘定科目に該当するものや仕訳方法を解説

保険には二つの主なタイプがあります。
それは積立方式と掛捨方式です。
積立方式の保険は、支払った保険料の一部が将来返戻されるタイプです。
よって、保険料を払うたびに、将来戻ってくるお金に関しては「保険積立金」として処理します。
一方、掛捨方式の保険は、支払った保険料は返戻されません。
そのため、支払った保険料はすべて「保険料」として処理します。
保険料の勘定科目で処理するもの
以下のようなものは、保険料の勘定科目で処理します。
- 保険料に該当するもの
- 生命保険料
- 損害保険料
- 火災保険料
- 地震保険料
- 運送保険料
- 旅行保険料
- 養老保険料
- 盗難保険料
- 定期保険料
- 自動車保険料
- 交通傷害保険料
- 建物共済保険料
- 自動車任意保険料
- 経営セーフティ共済
- 損害賠償責任保険料
- 自動車損害賠償責任保険料
会社で上記のような保険に加入した場合、その支払った費用は「保険料」として費用計上します。
例えば、役員や従業員向けの掛捨型生命保険は、会社の役員や従業員が被保険者となる生命保険です。
また、会社の店舗や建物、自動車の損害などに備える損害保険などもあります。
ちなみに、上記のようなものを全て「保険料」という勘定科目で一括りせずに、
- 損害保険なら「損害保険料」
- 火災保険なら「火災保険料」
- 地震保険なら「地震保険料」
などにしても問題ありません。
むしろ細かく記載したほうが、経営分析のデータとして扱いやすくなりますのでお勧めします。
⇧目次に戻る将来、戻ってくる部分は保険積立金
保険料として計上するものは、将来戻ってこないものが前提です。
保険の満期等で返戻金を受け取ることができる場合は、その一部または全部を「保険積立金」という勘定科目で資産に計上します。
⇧目次に戻る保険料の仕訳例
事務所の火災保険料1年分(2万円)を期首に現金で支払った。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
期首 | 保険料 2万円 | 現金 2万円 | 火災保険料 |
火災保険料を期の途中で、1年分まとめて支払った場合はどうなるのですか?
原則的には、未経過分(来期以降の分)の保険料は「前払費用」という資産の勘定科目で計上します。
ただし、1年分の保険料であれば、継続適用(毎期同じように経理処理をすること)を条件として、全額を当期の費用、この場合であれば全額を保険料として費用計上することもできます。
会計期間が4月~3月の会社で、火災保険料1年分(3万6千円)を1月に現金で支払った。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
1月 | 保険料 3万6千円 | 現金 3万6千円 | 火災保険料1年分 |
3/31(期末) | 前払費用 3万円 | 保険料 3万円 | 翌期分(4~12月分)の火災保険料 |
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
1月 | 保険料 3万6千円 | 現金 3万6千円 | 火災保険料1年分 |
3/31(期末) | 仕訳なし |
ちなみに、原則的な仕訳をする場合には、翌期首に以下の仕訳を起こします。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
4/1(翌期首) | 保険料 3万円 | 前払費用 3万円 | 4~12月分の火災保険料 |
数年分を一括で支払った場合の仕訳例
継続適用が要件の仕訳ですが、5年分の地震保険料を支払った場合も、全額費用計上で問題ありませんか?
いや、問題あります。
あくまでも「1年以内に費用となるもの」が継続適用の要件の対象です。
なので全額費用計上できず、翌期以降の分は長期前払費用といった資産の勘定科目に計上する必要があります。
会計期間が4月~3月の会社で、地震保険料5年分(15万円)を1月に現金で支払った。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
1月 | 地震保険料 15万円 | 現金 15万円 | 地震保険料5年分 |
3/31(期末) | 長期前払費用 14万2,500円 | 地震保険料 14万2,500円 | 翌期以降分の地震保険料(15万円 × 57ヶ月 / 60ヶ月) |
保険積立金の仕訳例
法人の役員や従業員が被保険者、満期返戻金の受取りが法人で、死亡保険金の受取人が役員や従業員の遺族である場合の養老保険80万円を月々支払っている。
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
保険料 40万円 保険積立金40万円 | 現預金 80万円 | 毎月の養老保険料80万円 |
上記のような契約形態の養老保険は、半額を保険積立金として資産計上します。
ちなみに、死亡保険金も満期保険金も法人が受取人である養老保険は「全額を保険積立金」として計上します。
逆に、死亡保険金も満期保険金も被保険者(役員や従業員)の遺族が受取人である養老保険は、全額を「役員報酬もしくは給料」として計上します。
ご参考:保険料等(国税庁HP)
⇧目次に戻る保険積立金がある場合の返戻時の仕訳例
契約期間5年の建物の損害保険が満期となり、返戻金30万円が普通預金に振り込まれた。
なお、この損害保険の保険積立金の累計額は25万円であった。
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金30万円 | 保険積立金25万円 雑収入5万円 |
上記のように、積立金額よりも多く戻ってきた分については、雑収入として計上します。
ちなみに、保険積立金がまったくなかった場合は、全額雑収入となります。
社員が会社を辞めたので、保険を解約し、解約返戻金20万円が入金されました。ただ、この保険の保険積立金は25万円あります。どのように仕訳すればよいですか?
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金20万円 雑損失5万円 | 保険積立金25万円 |
上記のように雑損失で処理します。
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- この記事を書いた人
- 都心綜合会計事務所
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- 寄付金に該当するものや仕訳方法などを事例で解説