法定福利費とは?該当するものや仕訳方法を解説

労働保険の申告書

法定福利費とは、会社が従業員のために支払わなければならない保険料などのことです。

これは会社が自由に選べる福利厚生とは違って、法律で支払いが必須とされています。

つまり、この費用は会社が人を雇い、事業を遂行する上で必ず負担しなければならないものです。

法定福利費に該当するもの

以下の6つが法定福利費となります。

法定福利費に該当するもの
健康保険料(事業主負担分)
従業員の病気やケガの出費に備えるための保険です。また、出産や育児に対して一時金も支給されます。
ちなみに健康保険には政府が管掌する「協会けんぽ」と企業や業種別の「組合健保」があります。
介護保険料
健康保険に加入している従業員のうち、40歳以上65歳未満の方が加入する保険です。
この保険により、要介護状態になったときの介護サービスにかかる費用の一部を受給できます。
厚生年金保険料(事業主負担分)
厚生年金保険は、会社員や公務員が入る国の年金制度です。この保険に入っている人は「第2号被保険者」と呼ばれています。
この保険に入る人は基本的に健康保険に入る人たちと同じですが、保険料の割合は全国どこでも同じです。
子ども・子育て拠出金
子育て支援のための拠出金です。
雇用保険料
従業員の失業などに備えるための保険です。
労災保険料
労働者の業務上または通勤によるケガや疾病、障害や死亡に対して必要な給付を行う保険です。
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法定福利費の保険料率等の一覧

上記でご紹介した法定福利費には、会社が全額負担するものあれば、会社と従業員が半々で負担するものなどがあります。

それらと料率をまとめたものが、以下の表となります。

法定福利費の保険料率等の一覧(令和6年の3月時点)
保険料率保険料率をかける対象の金額会社負担分従業員負担分詳細
健康保険9.98%標準報酬月額4.99%4.99%保険料額表
健康保険(介護保険該当者)11.58% (9.98% + 1.6%)標準報酬月額5.79%5.79%上記と同じ
厚生年金18.30%厚生年金の標準報酬月額9.15%9.15%上記と同じ
子ども・子育て拠出金0.36%厚生年金の標準報酬月額全額なし上記と同じ
雇用保険料(一般の事業)1.55%賃金総額0.95%0.6%雇用保険料率
労災保険料0.3~8.8%
(業種で変更)
賃金総額全額なし労災保険率表

健康保険の保険料率について協会けんぽの保険料率で、東京都の事例となります。
令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」より取得

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法定福利費の仕訳例

社員の給料30万円のうち、社会保険料(健康保険料と厚生年金)42,420円を差し引いて支払った。
借方貸方摘要
給料 300,000円普通預金 257,580円
預り金 42,420円
健康保険料14,970円、厚生年金27,450円
社会保険料を納付した。
借方貸方摘要
法定福利費 42,420円
預り金 42,420円
普通預金 84,840円会社半分負担
概算の労働保険料(雇用保険料と労災保険料)12万円を支払った。従業員の雇用保険料の負担分は4万である。
借方貸方摘要
法定福利費 8万円
立替金 4万円
普通預金 12万円全従業員分の雇用保険料と労災保険料の合算金額
労災保険料は全額会社負担
給料30万円の従業員から雇用保険料1,800円を差し引いて支払った。
借方貸方
給料 300,000円立替金 1,800円
普通預金298,200円
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