売上の仕訳方法!値引き・返品・リベートも解説

売上のグラフ

この記事の内容を理解できれば、以下の悩みが解決します。

売上の値引きや返品があった場合の仕訳はどうなるのか?

売上のリベートをした場合の仕訳はどうなるのか?

売上を認識するタイミングはいつなのか?

そもそも売上に該当するものは何なのか?

掛けで売ったら売掛金

靴を5,000円で売上、現金5,000円を受け取った。

このような取引を現金売上といい、仕訳は以下のようになります。

現金売上の仕訳例
借方貸方
現金 5,000円売上 5,000円

そして、金額が大きい場合などには、現金取引ではなく、掛けで取引が行われることが普通です。

例えば、中古車を50万円で売り、後日、口座振り込みをしてもらう、といったことです。

このような取引を掛け売上といい、仕訳は以下のようになります。

掛け売上時の仕訳例
借方貸方
売掛金 50万円売上 50万円
入金時の仕訳例
借方貸方
預金 50万円売掛金 50万円
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売上に該当するもの

質問者

ここで質問です。
先ほど、中古車を50万円で売った場合の例を説明しましたが、本当に「売上」でいいのでしょうか?

解答者

売ったんだから売上でしょ。

実はそうとも言い切れません。

中古車販売店さんが中古車を売ったなら、売上で問題ありません。

ただ、広告や飲食などを生業にしている事業者が、自社の中古車を売っても売上とはなりません。

そのような場合は売上ではなく、雑収入といったような別の勘定科目を使うことになります。

「売上」の勘定科目で計上するは、商品や製品の販売、サービスの提供といった、主とする事業の営業活動によって得られた収益となります。

よって、不動産賃貸がメインではない会社が、不動産賃貸収入を得た場合は、売上ではなく「受取家賃や受取地代」といった勘定科目で計上します。

不動産賃貸がメインの会社であれば、「売上」の勘定科目で計上します。

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売上を認識するタイミング

質問者

さらに質問です。
A社が3/30日に商品を出荷し、取引先に実際に届いたのが3/31日、取引先が商品の検収をしたのが4/1日の場合、A社の売上げ日はいつになるでしょうか?

解答者

ズバリ言いましょう。
3/31日です。

実は、正解はありません。

売上を認識するタイミングとして、

  • 出荷基準
  • 引渡基準
  • 検収基準

といったものがあります。

それぞれ以下のような意味となります。

売上を認識する基準
区分収益の認識時点
出荷基準商品、製品等を出荷した時点
引渡基準商品、製品等を得意先に引き渡した時点
検収基準得意先が製品等の検収(注1)をした時点

注1
検収とは、発注に応じて納められた品などを、注文の際の品質条件・数量・仕様に合っていると確かめた上で、受け取ることをいいます。

会社ごとに「どの基準を採用するか」を決め、継続して適用する必要があります。

よって、

  • 出荷基準であれば3/30日
  • 引渡基準であれば3/31日
  • 検収基準であれば4/1日

に売上を計上することになります。

質問者

なんでこんな基準があるのですか?

解答者

いい質問です。

例えば、会計期間が4月1日~3月31日の会社があるとします。

なんの基準もなく自由に売上日を決められると、今期の売上にするか(3/30日、3/31日の売上)、来期の売上にするか(4/1日の売上)、といったことを恣意的に行うことができます。

このようなことを防ぐために、基準が設けられています。

また、ある年は出荷基準を採用して3/30日に計上、ある年は検収基準を採用して4/1日に計上、といったことも出来ません。

どの基準を採用するかを決めたら、継続して適用する必要があります。

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売上の値引きや返品があった場合の仕訳方法

質問者

販売した商品に不良品が混在していて、値引きをすることになりました。
こういった場合、どのように仕訳をすればいいのでしょうか?

解答者

2つ方法があります。
1つは「売上値引」という勘定科目を使う方法、もう1つは逆仕訳を行う方法です。

商品5万円を売上たが、3,000円の値引きをすることになった場合の仕訳例

売上値引を使う場合
借方貸方
売上値引 3,000円売掛金 3,000円
逆仕訳を行う場合
借方貸方
売上 3,000円売掛金 3,000円
質問者

値引きではなく、商品が返品された場合ばどうなるのでしょうか?

解答者

これも2つ方法があります。
1つは「売上戻り」という勘定科目を使う方法、もう1つは逆仕訳を行う方法です。

商品5万円を売上たが、15,000円分の商品が返品された場合の仕訳例

売上戻りを使う場合
借方貸方
売上戻り 15,000円売掛金 15,000円
逆仕訳を行う場合
借方貸方
売上 15,000円売掛金 15,000円
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「売上値引」や「売上戻り」の勘定科目を使ったほうがいい場合

売上の値引きや返品の仕訳は、上記で説明したように逆仕訳でも可能です。

ただ、値引きや返品が頻繁にある、値引きや返品の金額を正確に把握したい場合には、「売上値引」や「売上戻り」の勘定科目を使うことをお勧めします。

逆仕訳の場合、値引きや返品もすべて「売上」の勘定科目に含まれ、値引きや返品の金額を把握できません。

逆に、値引きや返品がそう滅多にない、というのであれば逆仕訳でも問題ありません。

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売上に応じてリベートを行った場合の仕訳方法

質問者

売上高に応じて、リベートを渡した場合の仕訳はどうなるのでしょうか?

解答者

これも考え方は売上の値引や返品と同じです。
1つは「売上割戻し」という勘定科目を使う方法、もう1つは逆仕訳を行う方法がございます。

商品100万円を売上、5万円の返戻額(リベート)をした場合の仕訳例

売上割戻しを使う場合
借方貸方
売上割戻し 5万円売掛金 5万円
逆仕訳を行う場合
借方貸方
売上 5万円売掛金 5万円

値引や返品と同様に、リベートの金額を正確に把握したい場合には、「売上割戻し」の勘定科目を使いましょう。

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まとめ、及びよくある質問

今回の記事では、

  • 売上に該当するもの
  • 売上を認識するタイミング
  • 売上の値引きや返品、リベートの仕訳方法

について解説しました。

それぞれを簡単にまとめますと、以下のようになります。

まとめ
売上に該当するもの
  • 主とする事業の営業活動によって得られた収益
売上を認識するタイミング
  • 出荷基準
  • 引渡基準
  • 検収基準

の3つ基準があり、会社ごとに基準を決める

売上の値引きや返品、リベートの仕訳方法
  • 値引きは「売上値引」
  • 返品は「売上戻り」
  • リベートは「売上割戻し」

といった勘定科目を使うか、逆仕訳を行う

また「よくある質問とその回答」は以下のようになります。

よくある質問とその回答
売上の値引きや返品の仕訳は、売上の逆仕訳で問題ありますか?
問題ありません。
ただ、値引きや返品の金額を把握した場合には、「売上値引」や「売上戻り」といった勘定科目の使用をお勧めします。

最後まで閲覧して頂きありがとうございます。

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