キャッシュフロー計算書の現金同等物には何が含まれる?

キャッシュフロー計算書を見ていると登場する「現金及び現金同等物」という言葉。貸借対照表の「現金および預金」と同じものだと思っていませんか?
実は、この2つは似て非なるもの。「現金」はイメージしやすいですが、「現金同等物」に具体的に何が含まれるのか、パッと答えられる方は意外と少ないかもしれません。
本記事では、キャッシュフロー計算書における「現金同等物」の定義から、含まれるもの・含まれないものの具体例までをわかりやすく解説しています。
この記事を読めば、迷わずに資金の範囲を判断できるようになります。
キャッシュフロー計算書のキャッシュの範囲は?
キャッシュフロー計算書の対象となるキャッシュは、現金及び現金同等物です。
現金は
- 手許現金(てもとげんきん)
- 要求払預金(ようきゅうばらいよきん)
に分けられます。
要求払預金とは
- 当座預金
- 普通預金
- 通知預金
といった、一定の期間を経過しなくても引き出せる預金を指します。
ちなみに預入期間が定められている定期預金は、要求払預金に該当しません。
⇧目次に戻る現金同等物とは、容易に換金できるリスクを負わない短期投資のこと
現金はイメージがつきますが、現金同等物って何ですか?
あと、定期預金は現金に含まれないから、キャッシュフロー計算書には含めないということですか?
現金同等物とは、以下の3つの条件を満たすものを指します。
- 容易に換金可能であること(流動性が高い)
- 短期的投資であること(一般的に取得日から満期まで3ヶ月以内)
- 価値の変動リスクが僅少であること(元本割れリスクがほぼない)
具体的には以下ようなものが現金同等物に含まれます。
- 現金同等物に含まれるもの
- 譲渡性預金
- 公社債投資信託
- 売り戻し条件付現先
- コマーシャル・ペーパー
- 取得日から満期日または償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金(注1)
注1
担保に提供されていたり、引き出しが制限されている場合には、換金が容易ではないため現金同等物に含まれません。
- 譲渡性預金
- 第三者への譲渡が可能な無記名の定期預金証書
- 公社債投資信託
- 株式を組み入れず、公社債を主な運用対象とする投資信託
- 売り戻し条件付現先
- 債券などを「一定期間後にあらかじめ決めた価格で売り戻す」という約束をして、現在買う取引
- コマーシャル・ペーパー
- 企業が短期的な資金調達を目的に発行する無担保の約束手形
1年の定期預金が9カ月以上経過し、満期日が3カ月以内になりました。この定期預金は、現金同等物に該当しますか?
該当しません。
よって、キャッシュフロー計算書の「現金及び現金同等物の残高」に含まれません。
株式はどうなるのですか?
売ればすぐに現金になると思うのですが
確かに取引市場で売却可能な株式は、すぐに換金できますが、価値変動リスクが僅少ではないので現金同等物には含まれません。
なので、キャッシュフロー計算書の「現金及び現金同等物の残高」に含まれません。
キャッシュフロー計算書のキャッシュを勝手に決めてはいけない
会社によって、●●は価値の変動リスクが僅少である、あるいは僅少でない、といった判断が分かれるケースがあります。
このような場合には現金同等物の定義に合うかどうかを会社が方針として決めることができます。
そうなのですか。
そしたら定期預金も全て現金同等物として、キャッシュフローの残高に含めます。
いや、現金同等物の要件を明らかに満たしていないものはだめです。
方針を一度決めたら、気軽に変更はできません。
たとえば、「今年は利益が少ないから、これを現金同等物に入れちゃおう」といったことはできません。
一度採用したら、正当な理由がない限り、毎期継続して適用しなければなりません。
そして、現金及び現金同等物の内容を財務諸表の注記で明示する必要があります。
また、現金及び現金同等物の内容を変更する場合には、会計方針の変更として、一定の注記事項が求められます。
⇧目次に戻る当座借越契約による借入金は「現金及び現金同等物の残高」に含まれる?
当座借越の状況が、明らかに短期借入金と同様の資金調達活動と判断される場合は、「財務活動によるキャッシュフロ ー」の区分に記載します。
よって、「借金」として扱うため、現金及び現金同等物の範囲には含まれません。
ただ、当座借越を企業の日常の資金管理活動として、現金同等物とほとんど同様に利用している場合は、その当座借越は「負の現金同等物」となります。
よって、キャッシュフロー計算書の「現金及び現金同等物の期末残高」から当座借越を控除する形で含まれます。
⇧目次に戻るまとめ、及びよくある質問
キャッシュフロー計算書の「現金同等物」について詳しく解説しました。
貸借対照表の「現金及び預金」と混同しがちですが、現金同等物のポイントをまとめると、以下のようになります。
- すぐに現金化でき、価値が下がるリスクがほぼない
- 「取得日から3ヶ月以内」に満期が来る定期預金などが該当する
- 担保に入っているなど、自由に引き出せない預金は含まれない
この「3ヶ月ルール」と「換金性」の原則さえ覚えておけば、どの金融商品がキャッシュに含まれるか判断しやすくなります。
まずは、ご自身の会社の決算書と照らし合わせて、資金の範囲を確認してみてください。
また「よくある質問とその回答」は以下のようになります。
- よくある質問とその回答
- 現金同等物って何ですか?
- 一般的に、すぐに換金できて価格変動リスクが小さい短期投資など、現金に近いものを含めた概念です(例:短期で換金しやすい金融商品など)。
最後まで閲覧して頂きありがとうございます。
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